「覚える」から「考える」へ
AIの登場によって、プログラミングは本当に楽になりました。
以前は、忘れてしまった構文をわざわざ検索して確認していたものですが、今ではAIに少し質問するだけで、即座に答えが返ってきます。
シンプルな内容であれば正確ですし、書き方に不安があるときもAIがチェックしてくれる。まさに頼もしい相棒です。
けれども、その便利さの裏で、少し考えさせられることもあります。
私は専門学校や大学でプログラミングを教えていますが、初心者が細かい文法を覚える意味は、これからの時代にどれほどあるのだろうかと感じるのです。
授業では基本的にAIの使用を推奨していません。
なぜなら、基礎理解がない状態でAIを使うと、答えが正しいのかどうか判断できないからです。
AIの出す答えが常に正解とは限りません。
まずは「自分で考えて判断できる力」を身につけてからAIを活用する方が、確実に力がつくと思っています。
この業界は次々と新しい技術が生まれます。
AIの次には、どんな技術が主役になるのでしょうか。
その中で何を学ぶべきかを考えると、やはりコンピュータの仕組み・アルゴリズム・データ構造・ネットワーク・そして数学のような基礎分野が重要だと感じます。
私自身、最近はセキュリティの勉強を始めました。
良い教材ができたら、カリキュラムに取り入れる予定です。
数学は少し苦手ですが、得意な学生を見ると本当に尊敬します。
流行りに流されない力を
ツールの使い方のように短期間で身につくスキルは、実はあまり価値が高くありません。
なぜなら、多くの人がすぐにできるようになるからです。
これからの時代を生きる皆さんには、流行に左右されず、どんな時代にも通用する「考える力」や「本質的な知識」を身につけてほしいと思っています。
AIが当たり前になった今だからこそ、土台となる力の大切さを改めて感じています。